無痛分娩記③

そういうわけで、いざ出産へ。

全体方針は、誘発剤を徐々に増やす、痛ければいつでも麻酔投与開始する、とのこと。

 

8時   誘発開始

8時30分 病院へ到着

     (妻は余裕な顔。まぁ、それはそうか。)

9時   まぁ、陣痛

9時30分 痛い

10時  とにかく痛い

10時30分 麻酔頼むも、「麻酔始めちゃうとお産の進みがおそくなるからもう少しだけ我慢しよう」とのこと。いや、話が違うやん。。。

11時 地獄。テニスボールで圧迫作戦。麻酔頼むも、、、、。

11時30分 もう勘弁して。ひたすらテニスボール。麻酔頼むも却下。

12時30分 ようやく麻酔にゴーサイン!!!!!!!!!!!

(上記は妻の感想)

 

これから麻酔のカテーテルを挿入するので、その間に僕は昼飯を買いにいくように指示される。

もうすぐ生まれる子供を想像して鼻唄をふんふん言わせながら下の階のパン屋さんへ。

パンを買って分娩室に戻ろうと思ったら、助産師さんからちょっと表で待っててくださいとのこと。

10分程度だったんだろうか。とても長く感じた。ようやく、中に入っていいですよとの許可がおりた。中に入ったら先生からお話がありますとのこと。

麻酔の話はこないだ聞いたばかりなのにまたされるのか、なんて思いながら分娩室入ったら、酸素マスクをして、両手がぶるぶる震えている妻の姿が目の前に、、、、。

そんな姿を目の前にして、説明など耳にはいる訳もなく、なんとなく

カテーテル挿入中に破水した

・赤ちゃんの脈が弱ってる

・お母さんの血圧もさがっている

・念のため、陣痛促進剤を止めて様子を見る

・場合によっては帝王切開もありえる

という説明があったような。

 

目の前に酸素マスクをはめて手がぶるぶる震えている妻を見て、このまま一生会えないのではないかと心から不安になり、涙がでかけた(後から聞いたけど、妻は手が震えているだけでなんともなかったらしく、スゲー不安そうに座っている僕が滑稽だったようである)。

 

13時30分?(覚えていない)  赤ちゃんの脈も妻の血圧も安定しているとのことで、陣痛促進剤の再開

14時 陣痛がさらに強くなる。ひたすらテニスボール。

14時30分 熱計るとなんと39℃台。ただし、本人は別になんともないらしく、とりあえず陣痛が痛いとのこと。無痛分娩とは言うものの、自分でいれる麻酔は大して効果がなく、麻酔科医の先生がうってくれる麻酔でのみ痛みが消えたらしい(後日談)。

ちなみに僕は、熱が麻酔のせいではと心配になるも、痛いからとにかく麻酔をうってくれという妻にはなにも言えず。

17時30分 徐々に痛みが増してきて、いざ分娩モードへ。陣痛の度に息む。

18時00分 子供の頭が斜めになっており、真っ直ぐにならないと出産は難しいとのこと。

18時15分 少しずつ頭の向きが真っ直ぐになってきているとのこと。ただし、妻の血圧が190を越えており、一番偉い先生的には鉗子分娩を選択したい模様。担当の先生的には自力で分娩できるんじゃないかとのこと。

18時25分頃? とうとう担当の先生も鉗子分娩に同意。結婚式のファーストバイトで使うスプーンのようなものが2つでてきた。片方ずつ妻の股へいれた後、組み立てる。

ここからあとはなにが起こったのかよくわからなかった。

ただ、

鉗子に挟まれて子供が出てきた。本当に出産の瞬間を目の当たりにしたあの驚きは忘れられない。

そして、「あれ?泣かないな」と思い、大分不安になった。たったの数秒だったんだろう。僕には今まで経験したどんな時間よりも長く感じた。気づいたら子供が大きな声で泣き始めた。妻も僕も気づいたら目から涙が流れていた。本当に感動的な瞬間だったことだけは忘れられない。