読解力とは、単に文字を読む力ではなく、「読んで解く=考えること」そのものである。本当に理解するためには、情報を受け取るだけでなく、問いを立て、自分の頭で深く考える姿勢が求められる。しかし多くの人は「理解したつもり」になりやすく、それは楽で心地よいため、読解力が育たない原因となる。
本書では、読解力を以下の3層に分類している:
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表層読解:言葉や文の意味、明示された情報を正しく理解する力。読解の基礎となる。
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深層読解:行間や隠れた文脈、背景を推測し読み解く力。文の裏にある意図を読み取る。
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本質読解:話や文章の「核=本質」をつかむ力。これは、「普遍性」「汎用性」「シンプルさ」という3つの特性を備えている要素を見極めることに通じる。
このように読解力は段階的に深まり、最終的には物事の本質をつかむ力となる。これを鍛えるためには、以下の5つの基本姿勢が重要だとされる:
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話の流れや論理を整理する
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疑問や問いを持ち続ける
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実際に体験し、自分の理解と結びつける
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他者と意見を交わすことで視点を広げる
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得た知識や理解を継続的にアップデートする
読解力が高い人ほど、「自分は何を得たいのか」「何のためにこの情報を使うのか」という目的意識をもって読み解いている。読解力とは単なるスキルではなく、人生や仕事の質を左右する、最も根源的な知性であると本書は説いている。