伝わる・揺さぶる!文章を書く

文章の7つの要件

1. 意見:意見:意見とは、自分が見つけた「問い」に関する「答え」が該当する。なかなか見つからない場合は、「問い」を活用して見つける。「問い」を立てているのに行き詰まった場合は、直軸をずらして考える。すなわち、過去、現在、未来の視点を活用する。

2. 望む結果:文章を介して、何を達成したいのか。読み手にどのように動いて欲しい(感じて欲しい)のか。読んだ人から聞きたい言葉を想像すると良い。

3. 論点:文章を貫く問いを指す。筆者の問題意識、あるいは、独自の切り口と言い換えても良い。読み手と自分の問題関心をキャッチすることが重要。論点を制するものは、文章を制する。論点は、意見と必ず呼応する。そうでなければ、文章がねじれている。論点は「問い」の形にしてする。論点の候補を探す場合、「読み手」、「テーマ」、「自分」という切り口で探すと良い。

(1) 読み手

自分に求められていることを正しく理解する。相手の主張を理解することに時間をさくこと。文章ならば、①全体を一気読みする、②じっくりと、「意見」、「論拠」、「論点」、「キーワード」に焦点を当てて読む。繰り返すが、あくまでも理解に時間を費やすこと。心の中でフツフツと湧き上がってくるものが、論点の芽である。これをメモしておくこと。

(2) テーマ

テーマ関連の情報を把握する。この際もメモをすること。大事なのは、得た情報ではなく自分のメモ。

(3) 自分の中を洗い出す。

読み手とテーマの洗い出しで、論点が浮かび上がってきているはず。次は、自分の内面の問題意識を洗い出す。

(1)~(3)で作成したメモをグルーピングする。そのグルーピングをもとに、疑問文を作成する。疑問文を絞り込み、論点を決定する。この際の判断基準は、自分に切実な動機があるか、読み手の要求に叶っているか、自分の力量で扱い切れるか、社会的に見て論じる価値があるか、

4. 読み手、

5. 自分の立場: 相手に応じて文章を使い分ける。同じ文章でも読み手の立場が異なると受け取り方が異なる。相手にわかるか?、相手が興味を持てる内容か?、相手にこれを読むとどういう意味やメリットがあるか?、相手がどういう人か?、相手は今どんな状況か?、これを読んで相手はどんな気持ちになるか?、相手の立場に立ち、相手と私の心の距離を想像する。

6. 論拠:説得力の源。自分の理由を挙げ、相手の都合から見た理由を想定し、相手の反対理由を押さえ、反対理由に合わせた論拠を準備する。

説得のために視野を広げる。自分の実感、引っ掛かりを洗い出す、問題を多角的に見る(自分の体験、必要な基礎知識、具体的事例、別の立場、海外との比較、歴史を抑える、スペシャリストの視点)。これらを基盤として、自身で論拠を設定する。

論拠の順番は、優先順位の低いもの→高いもの、抽象度の低いもの→高いもの、過去→未来、ミクロ→マクロ、賛否 というのが一般的。

7. 根本思想 :書いたものを極力短い言葉で要約すると、根本思想が見えてくる。自分を偽らない言葉で書くことが、相手の心を動かすためには必要。

 

実践編

1. 上司の説得

・チェック1: 読者がどう思うか?

・チェック2:最も言いたいことは何か?

・チェック3:的確な論点か?(結果をイメージする→論点を決める→意見をはっきりさせる→論拠を用意する→アウトラインを作る。これで文章の骨格はでき上がり。それに加えて、相手の行動の理由の把握、自分の論への反論、相手の論拠を抑える、視野を広げる(過去→現在の推移、現代の社会(他社事例など)、文献調査、問題の整理、自分の信頼度の向上)

どういう役職、どういう人間性、どういう実績を残した、人が言うかは非常に重要。自分の信頼度は極めて重要な要素

2. お願いの文章

挨拶、自己紹介、志、依頼内容、依頼理由、条件、締めの言葉など、の順が一般的。

自分をどう信頼してもらうか。相手の目線に立ち、相手のやる気を引き出す。志に共感してもらう、面白いと感じてもらう、必然性を訴えることが有効。依頼する時には正直に話し、引き受けてもらった後まで想像する。一人称を、会社の代表なのか、ユーザーの代弁なのか、自分の言葉なのかで使い分ける。

3. 議事録

論点に着目することが重要。議題を「問い」の形にして、大きくはっきり書く。問いに対して出した答えが、決定事項に該当する。その答えを出す上で、大事にしたことが議事の要点に当たる。

前後の流れの明示により、会議の転覆を抑えられる。会議の位置付け(意思決定、ブレストなど)、今後の課題を問いで記載する。

4. 志望理由書

志望分野を取り巻く社会環境(今の人と社会を自分はどのように見ているのか、問題点・原因、よくするためには何が必要か、どんな理想を達成したいか)、志望分野に関する自己認識(動機、自分にある資質、自分を採用した場合の先方のメリット)、志望先を選んだ理由(経営理念など)

たくさんある@@の中から、なぜ選んだのか、その企業(大学)は何をするところなのか、どのような資質が求められるか?、それに関連した世の中の出来事は?、5年後、10年後に達成したい世の中は?、将来どんな仕事がしたいか?、過去・現在を振り返り自分の特性が合致すると思えるポイントは?、自分とその志望先のつながり(キー)を見出す。受け入れ側のメリットを見出す。

5. 謝罪

お詫びによって達成したいこと(謝るだけ or 許してもらう or 償うなど)をイメージする。

テンプレート:謝罪→相手の立場に立つ→罪を積極的に認める→原因究明→二度と繰り返さないための対策の提示→償い方の提示。

一人称は「私」を推奨する。

6. メール

書き手に負担をかけないように、記載事項を整理してから送付する。

一番言いたいことを決める、論拠を決める。相手にとっての意味を決める(読むだけ or 意思決定必要など)、一目でわかるタイトルをつける(論点 +  相手にとっての意味が推奨:「至急。@@の予算アップのお願い(要返信)」)

メールはあくまでも提案型で記載すること、受動態ではなく人間を主語にすることを推奨する。これにより、責任の所在の明確化できるとともに、自分が行動に責任を負うという感覚も育つ。

 

テクニック

1.引きの伝達術

二歩下がって考える。一歩目は、他人が読んだらどう思うかという視点。二歩目は、一つ前のプロセスを共有するという視点。素人に教える場合は、素人の視点を忘れないように、あえて前提情報を把握せずに、仕事に挑むという手段もある。

2. 動機を作る

相手が、文章を読む理由を冒頭に持ってくる。具体的には、文章を読んだことで得られる効能を示す、相手にとって切実・身近な話題とリンクさせる、タイムリーな話題とリンクさせる、面白そうな独特の世界観を醸し出す、など。

3. やる気をわかせる指示の出し方

意味、流れ(過去、現在、未来: 相手の歴史、グループの歴史、社会の歴史)、関係性(社会 x グループ、グループ x 相手、相手 x 社会)という視点を用いる。

4. 思考停止ポイントを見つける

自分の考えの拠り所となる、揺らぎのないもの(=思考停止ポイント)があると、議論にならない。自分の頭で考えるということは、常に揺らぎがある中でおこなうもの。トレーニングの一つとして、「素晴らしい」という言葉を使わないで、生活してみると、ボキャブラリーが増え、見える世界が変わってくる。

 

所感

文章を書く際の注意点が学べた。

要約には書かなかったが、「そのさきの結果へ」以降は生き方を学べる内容であった。