強運の持ち主

デパートの一角で占い師として働く吉田幸子。母親を事故で亡くした少年、義理の父とうまく関係を築きたい高校生、終わりが見える青年、最強の運の持ち主の彼氏。占いを通し、彼らの人間模様を描く。

 

 

傲慢と善良

架と真実は婚活アプリを通して出会い、婚約する。真実は架にストーカー被害にあっていることを以前から訴えており、架は真実がストーカーに連れ去られたと考え捜索する。捜索する中で真実の知らなかった過去や性格を知るとともに、自分自身を見つめ直していく。

 

感想

婚活、恋愛を主題としながら、人間の心のうちを描いていく。人は様々な場面で相手の価値を見定めようとする。恋愛に限らず通ずるものがある。

 

 

ライオンのおやつ

余命を宣告された主人公は、瀬戸内海に位置する島のホスピスに入る。ホスピスでは、毎週日曜日のおやつの時間に、人生の最後に食べたいおやつが、入居者のおやつにまつわるエピソードとともに振る舞われる。このおやつをエッセンスとして、ホスピスでの死に至るまで、そして、死後数日の日が描かれる。

 

感想

後半は不意に涙しながら読み進めた。

義理の祖母が亡くなったとき、頭の上に風が吹いた気がした。死後に、孫娘をちゃんと守りなさいとに来てくれたのかもしれないと改めて思った。

 

 

ひと

突然の事故により父を亡くし、母までも突然亡くした柏木聖輔。頼れる身寄りもなく、東京の大学を中退する。ひとつの出会いから商店街の惣菜屋で働かせてもらう。様々な縁の中から自分の人生を定め、譲れないものを見つける。

 

感想

人物の描写にとてもリアリティがある。

同じ対象を見ていても、その価値は人それぞれであることを気づかせてくれる。最後の終わり方にとても爽快感があり、暖かい気持ちになる。